囲碁のマナーを知って美しく打とう!

囲碁のマナーを覚えて美しい碁を打ちましょう!ルールだけなく相手を思いやる囲碁のマナーを知ることでお互いに気持ち良く打てるのです!

礼に始まり礼に終わる

高校野球をはじめとする学生スポーツから、武道まで、いつの時代も「礼義」というのは大事にされています。

もちろん、囲碁も例外ではありません。対戦相手に敬意を持って、お互いに気持ちよく対局をしましょう。

実際に、過去に日本棋院 院生に在籍していた経験を持ち、現在は永代塾囲碁サロンの塾長をされている永代和盛さん(以下、「永代さん」)も、「院生は挨拶を徹底して教えられる」とお話しています。

白石を打つ永代和盛

永代さん:「囲碁はまず対局前に、その空間に挨拶するというのがあるんですよ。対戦相手とお会いしたら挨拶、対局前にも挨拶します。ながら歩きで挨拶せずに、きちっと挨拶しましょうと教えられます。」

 

また、対局の始まりと終わりの挨拶は必ず正座で行うとのこと。対局中に足を崩す場合は失礼しますとの声掛けをするのが正座のマナーです。

そのため、対局中に突然相手から敗戦の申し入れがあるときは慌てて姿勢を正すということ場面もあるようです。

 

永代さん:「そろそろ投了かな、と感じたら察して姿勢を正していましたね」と永代さんはその当時の事を笑いながら思い返しておりました。

笑顔の永代和盛

ニギリのマナー

互先では、対局前にニギリで、先手か後手かを決めますが、このニギリにもちょっとしたマナーがあります。

先ず、どちらが握るか?

これは、年長者の方、つまり目上と思われる方が握るようにしましょう。

 

これに対し、もう一方が、黒石を1つか2つ置くことになりますが、永代さによれば、黒石は1つ置くのが乙なようです。この理由ついては、

 

永代さん:「スマートに碁を打ちたい、という美意識があるからではないか?」

 

と語ってくれました。

確かに、囲碁ではニギリ以外で2つの石を同時に打つことはありませんよね。ニギリの時も、一個だけ置くほうが見た目にも美しいでしょう。

対局中のマナー

これまで、対局前のマナーについて触れて来ましたが、もちろん対局中にもマナーがあります。

例えば、碁笥の中の碁石をガチャガチャとする行為は、あまりマナーとしてよろしくありません

 

永代さん:「打つ手が決まっていないのに、碁石をガチャガチャとやるなどの音を立てる行為は最悪ですね……。無意識にリズムを取っているのかもしれないですが、結構いらっしゃるんですよ。」

 

勝負に影響が出るのは嫌ですし、何よりも囲碁では良い棋譜(美しい棋譜)を残すことがある種の美徳とされることがありますが、それを妨げることにもなり兼ねないのでお互いのためにもガチャガチャはやめましょう。

また、これは特にネット碁を中心に打っている方は知らない方もいるかもしれませんが、初手は右上隅に打つのがマナーとされています。これは、右利きの人が多いことを想定し、相手の右手側を空けておいてあげるという配慮です。もちろんルールで決められているわけではありません。しかし、初手だったら天元以外は左右のどちらに打っても同じ意味ですから、相手への思いやりを持って、気持ちよく碁を打つために知っておくといいでしょう。

他にも、打とうとして「やっぱりやめた」というのはマナーとしてよろしくないです。もちろん、手を放してしまった後に動かすのはマナー違反の前に反則負けですが、ルール上は、肉付き(指が石に付いている)の状態であれば、場所の変更は可能です。
ルール上は可能ですが、美しくありません。石を持つ前に打つ場所を決めて、石を持ったら一直線に「パシッ」と打つのがエレガントですよね。

対局に口は出してはダメ!

対局中に、対局を観ているお客さんにお願いしたいこともあります。

それは、絶対に口出ししないこと!

 

永代さん:「良かれと思っているのかもしれませんが……。横からの口出しは禁止なんです。特に囲碁を習わせている親御さんなどは心配に思われるかもしれませんが、運動会ではないので。棋譜は後から見ることもできますし、対局中は棋士が集中する環境を作ってあげてほしいんです。」

 

永代さんは、弟子が打っているときにも自分は(弟子の)背中など視界に入らない場所から見るようにしているとのことです。

自分の子どもやお友達を応援する気持ちは大事ですが、真剣勝負の場で口を出すのはやめましょう。

投了する時も敬意を持って

初心者の方ですと、タイミングがわからない投了ですが、投了をする際にも相手への敬意を持ちましょう
何も言わずに、碁盤上の石を片付けるなどはやめましょう。相手への敬意を表して「参りました」と一声かけ、自分の負けであることを宣言するのがマナーです。

ちなみに、将棋の方で、声がかすれないようにお茶を飲んでから「参りました」という方がいらっしゃったそうです。なかなか負けは認めたくないかもしれませんが、負ける時も美しくいることで観ている人たちも素敵だなと思えるのではないでしょうか。

その他のマナー

ガッツポーズなどのパフォーマンスは囲碁ではやりません。あくまでも相手を倒すことよりも良い棋譜を残す、ということが重要視されていた時代の名残かもしれません。

また、他にも碁盤上に囲碁とは関係のないものを置かないようにするというのもマナーですね。

 

永代さん:「剣道場にサッカーボールが置いてあるのはおかしいですよね」

碁盤の上に囲碁とは全く関係のないものを置くということは当然ナンセンスと言えるでしょう。

マナーの“ルール化”が進んでいる。

これまで説明した内容はお互いが気持ちよく囲碁を楽しむために行われていた昔からの慣例ですが、時代の変化に合わせてマナーのあり方が変化しているようです。

どういうことかと言うと、他国ではルールとして明文化されていないものを「やってもいいだろう」と解釈する選手が多いため、今までマナーとされていた部分を「ルール」として明記する流れになっているとのことです。

 

例えば韓国や中国では囲碁を「娯楽」から「スポーツ」としてはっきりさせるようになってきており、現在では世界的に見ても有名な棋士が多く輩出されています。

文字通り、白黒はっきりとさせる「勝つための囲碁」になってきているのが世界の現状。良くも悪くも合理的になっている部分は否めません。中には明文化されていないことを良いことにテレビ放映の対局会場にジャージで来てしまった棋士も居るとか。日本では考えられません。

また、中国では独自のルールがあり、先ほど説明した「肉付き」をはじめとして様々な禁則事項があるようです。

最後に

これまで見てきたように、 囲碁では相手への敬意と思いやりがマナーとして形になっているものが多くあります。

 

そのような敬意や思いやりからできたマナーが国によってはルールとなってしまうのは、何やら冷たく感じる部分があるかもしれません。ですが、時代や文化によって解釈が変わるのであれば、それを受け止めたうえでルールとして明文化することも、一つの「思いやり」(マナー)の形の一つではないでしょうか。

 

囲碁は一人ではなく、相手と打つものです。そこでは、形にとらわれない「思いやり」や「気遣い」が必要になります。そのような広い意味でのマナーを身につけることで、みんなで楽しく美しく打ちたいものですね。

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